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しながら(HKa+rHRD)の条件ではHKaの作用は劇的に消失した(C)。LKを同時に加えた場合ではHKaの作用は持続していた(D)。以上のことはrHRDはHKaの細胞接着抑制作用を阻害したことを意味している。
次にその作用機序について検討した。HKは本来陰性荷電した表面へ吸着(例えばガラス、セライト、カオリン等)する性格を有している。今回のrHRDの抗HKa作用はHKaの表面へ吸着の阻害がその原因であるかを検討した。まずI−125label−HKaを用いrHRD存在下でVN及びBSAをコートしたwellに1hr incubationした。rHRDを入れた場合、HKaの表面への吸着は阻害された(data notshown)。以上よりrHRDのsurface−bindingが重要であることが判明した。次に細胞接着に関するVN、HKa、rHRDの空間的、時間的相互作用を検討するためsequentialstudyを検討した。VN、HKaの抗原性は各々に対するMAbを用いELISAで検討した。表1に示したようにVN−HKa−rHRDはまずVNをコートした後、BSAでブロッキングしたあと、HKa(10μg/ml)をいれ1hr incubationを行なう。さらに洗浄後、rHRD(10μg/ml)を入れ、1hr incubation後、各VN、HKaの抗原量及びMG63cellsの細胞伸展をみたものである。ここで注目すべきことは
(1)VNの抗原性の減少と細胞伸展の低下とは必ずしも相関しない。
(2)VNとHKaが直接接触する条件では細胞伸展は亢進しない。
(3)rHRDがHKaよりさきに吸着されるとVNの細胞伸展は影響を受けない。以上のことを要約するとHKaにはcell inhibition domainとsurface binding domainとが存在する。次にrHRDのみではcell inhibition domainは効率よく機能しない。cell inhibition domainが機能するため

 

 

 

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